そんなこと気にしてたのかと、呆れたように笑い頭を撫でてくる女に、土方はこめかみの筋肉が引き攣るのを感じた。相談も何もせずに自己完結させてしまっていたのは確かに己の失敗かもしれないが、それだって彼女のことを気遣ってのことだったのだ。にも関わらず、なにその哀れみ深い視線。
言い返しもせず枕元の刀を引き寄せて抜刀することもせず、馬鹿で悪かったなとだけ言って銀時の足を抱え上げる。大した反応をされなかったことで銀時は意外そうに目を瞬いたが、ぐっと土方が腰を進めると息を詰めて背を仰け反らせた。その白い喉元に土方は柔らかく噛み付く。すると銀時の指先はぴくりと怯えるように反応し、何かを警戒するように身体が強張るのだ。その様子が土方にとってもどかしく、同時に快い。無意識とはいえ怯える銀時を押さえ込んで啼かせるのは、ひどく楽しかった。
胸元の飾りに吸い付くと銀時の身体が大きく跳ねる。もう片方の乳房をゆっくり揉みしだくと一層高く声を上げた。
「疲れてる割にはイイ声で啼くじゃねえか」
「……変、態っ」
「男はみんな狼で変態だよ」
「自分で言うとますます馬鹿っぽいよ副長さん」
「…まだ言うか」
胸をもんでいた手が下肢へと伸ばされ太腿を滑る。ふと息を吐いたところを狙って足を肩に抱え上げられ、より深くなった挿入にたまらず銀時は身を捩るが、土方の腕が腰を支えているためにどうしようもない。せめて声を抑えようとでも言うのかぎっと歯を噛み締めて絶えようとするのを見て、小刻みに揺らして呼吸を乱させる。この野朗と土方を睨み上げたが情事の途中で頬を色づかせた女の睨みなど怖いはずもなく、逆に男を満足させるだけだ。土方は口の両端を吊り上げた。
銀時の背中に腕を回して、ぐいと引き起こす。銀時が驚愕したように目を見開き、次いで耐え切れないというように目をぎゅっと瞑って唇を噛み締める。土方は彼女の唇をぺろりと舐め上げた。僅かに開かれた隙間から舌を忍ばせて、反射的に縮こまって逃げた銀時の舌を吸い上げる。歯列を割り粘膜を舐め上げ咥内を存分に犯し、呼吸を荒くさせた銀時が土方の動きを制するように肩を押したが何の意味もなく、それどころか速度を速められ銀時は何度目かの絶頂を迎えた。
「早ぇな」
「……………おめーの、せい、だ」
「褒め言葉か?それ」
「死ね」
抵抗する気力は尽きたのか、銀時は土方の肩に頭を乗せて浅い呼吸を繰り返した。
「それで、本当に俺は遠慮しなくていいんだな?」
首に力なくまわされる腕に触れる。しなやかな筋肉が綺麗についた腕は女性にしては硬く引き締まっているが女性特有の柔らかさが失われているわけでもなく、土方の手のですっぽりと握れてしまう細い手首もやはり女性のもの。腕をつたって肩に触れ首筋に触れ、鎖骨、胸、脇腹へと手を滑らせていく。あちこちに肉が薄く盛り上がった古傷がある身体だったが、そんなことは気にするべき点ではなく。
「なあ、銀時」
「……なんだよ」
伏せられた顔は表情こそ見えなかったが、赤く染まった耳が彼女の胸中を十分に表してくれた。土方はくつくつと喉を鳴らし、それが愉しさではなく嬉しさからくる笑いであることに更に気分を良くさせた。
「もう俺ぁ、我慢なんかしねえからな」
俺はまだイってないからもう一回。
やっとのことで呼吸を整えた銀時は、うきうきと己の肩の傷に舌を這わせる男の底なしの体力に、さすがに遠慮はしてもらうべきだったのかと、うんざりとした表情を浮かべた。