おまえの傍はとても安心する。
静かな声でもたらされた呟きに、トロワはやんわりとした暖かな笑みで返した。
すいと伸ばした手が髪に触れても、ヒイロは後ろへ退かなかった。いつだって真摯な瞳はこの時もトロワをまっすぐに見上げていて、トロワは己の表情がますます緩んだものになるのを自覚する。
「それは、光栄なことだ だが、」
引き寄せた体は拒まなかった。
「おれはこれぐらいの距離のほうが、もっと安心できると思うんだが」
そうかもしれないな。浅く頷いた気配が伝わってくる。
腕の中に閉じ込めた温もりに、トロワはただ幸せを感受した。